ギフトの疑問を解決
人生の時々に、婚礼や出産、初節句、入学など嬉しいお知らせが届くことがあります。このような時には、ともに喜び、「おめでとうございます」という言葉を添えてお祝いの品を贈りたい気持ちになります。また、お祝いを頂いた時には、感謝の気持ちを込め「お返し」を贈ることで人間関係を深めることができます。古来から日本では、お祝いや内祝に関わらず、ご挨拶やお土産、お詫びの気持ちを込めてお菓子を贈り合う「菓子折り文化」が根付いていて、お菓子を「心ばかり」という言葉でもってお渡しする習慣があります。この「心ばかり」という言葉は「ほんの気持ちだけですが」という日本人特有の謙遜した表現ですが、この言葉こそ、先様に余計な気を使わせることのないように「大切なあなたとのお付き合いを末長い続けていきたい」という相手を思いやる日本人の優しい心が込められているように感じます。この「ギフト読本」が、あなたのお気持を、お相手にお届けできるお手伝いになれば幸いです。
お祝いの相場と渡すタイミングは?
お祝いの品を贈るにあたって、いくらの品物を贈るのが一般的なのかが悩むところです。安過ぎては失礼にあたりますし、高額過ぎてもお相手に気を遣わせてしまいそうです。またお渡しするタイミングも気になるところです。そこで一般的な、お祝いの相場と贈るタイミングを見ていきましょう。
結婚祝いの相場
ご祝儀の基本となる金額は一般的に、友人の場合は30,000円が相場です。上司や家族・親戚など新郎新婦よりも立場が上、関係性が深い場合は50,000円~100,000円程度と多めに包みます。ご祝儀以外にプレゼントも贈る場合は、「ご祝儀20,000円+プレゼント10,000円=30,000円」など、相場に合せるとよいでしょう。結婚式に参列しない場合は、親族なら30,000円、友人なら10,000円、会社関係なら5,000円前後が相場です。また、友人への結婚祝いを連名で贈る場合、式に参列しないのであれば、一人当たり3,000円~5,000円程度が目安になるでしょう。
結婚祝いを渡すタイミング
ご祝儀の場合は、結婚式当日ですが、ご祝儀以外にお祝いの品を渡す場合や事情により式に出席できない場合にお祝いの品を贈る場合は、結婚の知らせや披露宴の招待状を受けとってから、挙式の1~2ヶ月前、遅くても1週間前まで。正式には、お相手の自宅まで伺い「手渡し」で気持ちを伝えるのがベストですが、都合がつかないとか遠方の場合などは配送で贈っても失礼には当たりません。また、結婚式に招待されていない場合は、お祝いを贈るのは挙式後に贈るようにしましょう。結婚式前に贈るのは、招待していないことを新郎新婦が気にする事もあるため避けたほうがよいでしょう。 贈るタイミングは挙式後で、少し落ち着いてくる2~3週間後ぐらいが良いタイミングです。
出産祝いの相場
親戚であれば10,000円~30,000円程度で、親しい友人の場合 5,000円~10,000円程度が相場です。また会社の同僚であれば、3,000円~5,000円程度が一般的な目安となります。出産祝いではベビーカーやおもちゃ、赤ちゃん用の食器、肌着が多いですが、他の人と重なる場合がありますので、注意が必要です。そんな時には日頃子育てに頑張っているママにお菓子の詰合せはいかがでしょうか。
出産祝いを渡すタイミング
出産後1ヶ月前後のお宮参り前後が最適です。特別に親しい間柄でない限り、プレゼントは郵送で届けるようにしてあげましょう。出産を終えたママは退院後も子育てに追われていますので、自宅に来られても迷惑になる場合があります。また出産前に出産祝いを贈ったり、親族でないのに出産直後に病院に面会に行ったりすることなども迷惑になりかねないので避けましょう。また出産祝いを贈る際は、母子が健康であることを確認してから贈るようにしましょう。
入学祝いについて
入学先が決定してから、入学式の一週間前までが最適です。入園式や入学式が終わるまで待つ方もいますが、入学祝は基本的に身内がお祝いするものなので、卒園式や卒業式が終わった時点で早目にお祝いを贈ってもかまいません。ただ注意点としては、私立学校の場合は、合格が決定するまでは控えたほうが賢明です。
新築祝いについて
新築祝い(引っ越し祝い)の相場は、贈り先様との関係性によって異なります。知人・友人へ個人でお贈りする場合は5,000円~10,000円程度、兄弟や親戚では10,000円~50,000円程度、親から子供へ贈る場合は50,000円~100,000円程度が一般的な目安とされています。新築披露は半月から2ヶ月の間に行われることが多いため、新居完成後、半月から遅くても2ヶ月以内、あるいは新築披露の日に贈ります。ただ、最近では断捨離(だんしゃり)ブームもあり、自分の好みに合わない不要な物は処分する傾向がありますので、自分の趣向で品物を贈るのは往々にして迷惑になる場合もありますので、食べたらなくなる「消えモノ」などのお菓子の詰合せなどが喜ばれるようです。
その他のお祝いについて
七五三のお祝い:
七五三の11月15日前後の家族の都合がよい日を選んで参拝をするのが一般的ですので、お祝いを渡す場合は、できれば11月15日を超えないように、11月1日~15日の間までに贈るのがいいでしょう。
初節句のお祝い:雛人形や鎧飾りなどは、初節句の1ヵ月前から飾るという風習があるため、それまでに届くよう手配しておく必要があります。
昇進や栄転のお祝い:
一般的にお祝いの対象となりますが、特別な関係がなければ、贈り物を用意する必要はありません。ただ、家族ぐるみで付き合いのある場合や、仲人を務めてもらったなど、特別お世話になった場合は、お祝いの品物を贈ったりするといいでしょう。具体的には、正式発表から1週間以内、遅くとも2週間以内に渡すようにしましょう。
その他、初誕生日・卒業・成人・就職・新築・店舗開店・定年退職などのお祝い:
渡す時期は基本的に早めがよいとされていますが、お相手に合わせたタイミングで贈るように心がけたほうが良さそうです。
内祝の相場と渡すタイミングは?
内祝いとは、結婚や出産、子どもの入園・入学などの時に、家族や知人から頂いたお祝いに対して「感謝の気持ちを伝える」ための返礼の風習です。現在と昔とでは「内祝い」の意味が違います。昔の「内祝い」は、お祝いを頂いている、いないに関わらず祝い事があれば、その報告を兼ねて周囲に贈るものでした。ただ、現在でも昔ながらの「内祝い」を行う地域もあるようですが、内祝いを贈ったお相手によっては「お祝いを催促されているのかも」と感じてしまうことがあるようです。「内祝い」を贈るときには、お相手に合わせたタイミングで贈るように心がけたほうが良さそうです。なお、内祝いは、現金でのお返しは考えられず「お祝いに対する返礼品」として品物となります。
内祝いは、どんな時に贈るの?
内祝いを贈るべきシーンは、主なものに結婚・出産・新築・入学・成人・就職・快気があります。
本来の内祝いは「喜び」をおすそ分けするという意味で、お祝いを頂いている、いないに関わらず贈るものでした。しかし現在では頂いたお祝いに対する「お返し」の意味合いが強く、後々の余計なトラブルを避けるためにも、あらかじめ本来の内祝いを贈る方々を家族などと相談して親しい親戚や兄弟姉妹など限定したほうが良いでしょう。
内祝いの相場
頂いたお祝いの金額の半額〜1/3程度が「内祝い」の相場です。あまりに高価な品を贈ってもお相手に気を遣わせてしまいますし、逆に相場以下のものでは失礼にあたってしまいます。お祝いに10,000円程度の品を頂いたのであれば、3,000円〜5,000円程度のものを「内祝い」としてお返します。お祝い金額を超えた品物を贈ることは失礼と捉えられてしまうため、注意が必要です。お返しの品を選ぶのは、お相手の好みもあるますので悩むところですが、お子さんから高齢の方まで喜ばれるお菓子の詰合せが多いようです。
内祝いを渡すタイミング
なるべく早めに贈るのがポイントで、最低でも1ヶ月以内に贈るのがベストです。遅くなってしまう場合でも、2ヶ月を超えない範囲で贈るべきです。場合によってお返しの時期が遅れてしまう時には、一言「お祝いが届きました」とお礼を述べておくのが良いでしょう。お祝いを贈ったにも関わらず、何の音沙汰もないのはかえって失礼に当たってしまいかねません。まずは電話で、お祝いを受け取った旨だけでも伝えておくことが大事です。
結婚内祝いを渡すタイミング
結婚式に参列される方は、式で出される料理や引出物がお返しになるので、改めて「結婚内祝」を贈る必要はありませんが、式に参列されなかった方にお祝いを頂いた場合には、挙式から2ヶ月〜1ヶ月を目安にすると良いでしょう。慌ただしい最中での用意だとなかなか予定通り進まないことも想定できますので、前もって品物や送り先などを決めておいたほうがスムーズです。お相手の好みがわからない時には、お菓子の詰合せが最適です。日本には昔から「内祝」や「御挨拶」には、お菓子を贈るという「菓子折り文化」が根付いていますので、どんな方にも喜んでいただけます。
出産内祝いを渡すタイミング
出産内祝いの場合は生後1ヶ月の頃を目安にすると良いでしょう。慌ただしい最中での用意だとなかなか予定通り進まないことも想定できますので、そんな時には前もって品物や送り先などを決めておいたほうがスムーズです。内祝いの好適品はお子さんから高齢の方まで喜んでいただけるお菓子の詰合せが最適です。特に焼き菓子は日持ちもしますので、お相手のお好きな時に召し上がっていただけます。
お祝いを贈らなかったにも関わらず内祝をいただいた時は?
内祝いとは、本来、自分や身内にお祝いがあった時の「喜び」を、周囲の皆と分かち合うために、日頃の感謝を込めて、自発的に贈るものです。一部の地域では、今なお、そういった本来の意味での「内祝い」を贈る家庭もあります。ですから、そうした習慣を知らない人のなかには「お返ししないといけないのかな?」と戸惑ってしまうという事もあるようですが、基本的には「内祝いに対するお返し」は不要です。ただし改めて電話や手紙などでお祝いと御礼を伝えておいたほうが丁寧ですし、心ばかりの品物をお贈りしてもいいのではないでしょうか。
昇進・栄転祝いにお返しは必要?
基本的に昇進・栄転祝いをいただいた場合、一般的にはお礼の品物を用意する必要はないといわれます。ただ、もらいっぱなしにならないようにお礼状を出すなり、心ばかりのものをお贈りすることも必要なのかもしれません。その場合は、お返しやお礼と銘打たずに、お祝いをいただいた職場の部下たちや、取引先の会社には、1人分ずつ小分けにしやすい焼き菓子の詰合せなどをお贈りすれば喜んでいただけます。
熨斗(のし)はどうすればいいの?
「のし」とは、祝い事などの贈り物に添える「飾り付け」を指します。一般的には「水引」とセットになった包装(のし紙)が使用される機会が多く、現在では総称して「のし」と呼びます。熨斗は、水引を区切りとして上側を「のし上」、下側を「のし下」と呼び、「のし上」には贈り物の用途(御祝・内祝・出産内祝など)を書き、「のし下」には贈り主の名前を書きます。当サイトでは分かりやすいように上側を「表書き」、下側を「お名入れ」としております。
 詳しくは「のしの説明」へ 
のしの「水引」って何なの?
水引というのは、「のし上」と「のし下」の間にあるひも状のものです。この水引の結び方には「結切り」と「蝶結び」があります。
結切り:
固く結んでいることを表しているので、「繰り返さない」、「一度で終わる」という意味で用います。用途は、結婚や快気祝い、お詫び、仏事(紅白の水引は使いません)で使用します。
蝶結び:
蝶結びは、何度でも解き結びなおせることから「何度あってもいい」という意味で用います。
用途は、出産やお中元・お歳暮・お祝い・内祝いなどに使用します。
「内のし」と「外のし」の違いについて
「内のし」の使い方:
しばしば内祝いに用いられます。「内のし」の場合、届いた相手に表書きが見えません。これは「お相手を祝う」ものではなく「自分の祝い事を報告する」という内祝いの性質上、「内のし」の控えめな表現が適切とされているからです。
「外のし」の使い方:
「外のし」は、表書きがお相手にはっきりと見える形で渡すことができます。つまりお相手の慶事を祝うときに最適な形式なのです。たとえば結婚や出産、または直接会って渡したい時には外熨斗を用います。
子どものお祝いをいただいた時の「内祝」の「のし」は?
出産内祝・初節句内祝・初誕生日・七五三内祝の「のし」には、お子さんの名前を書きます。フルネームでなくても構いません。また、入学内祝いの「のし」には、小学生くらいまでは「下の名前のみ」にする方も多いようです。いずれにしても、お子さんがいただいたお祝いのお返しですので、お子さまの氏名を書き入れるのが一般的です。
連名の場合の「のし」の書き方は?
家族や会社、部署、有志など連名でお祝いを贈る場合があります。その場合の「のし」の書き方を説明いたします。
家族全員の名前を書く場合:
のしの下段・中央から書き出し、左へ順に夫→妻→子どもと記名します。姓が一緒なら、妻以降は名だけとしても構いません。紙面の都合上、名前を書くのは3人程度が収まりがよいです。3人以上の場合は、次の方法が適しています。
家族の人数が多い場合:
3名以上の連名など、のしに書ききれない場合には、「世帯主の名前+他家族一同」と書きます。世帯主である人の名前を「のし」の下段・中央に書き、左に少し小さめの字で「他家族一同」と書きます。
取引先として連名で贈る場合:
取引先としてのお祝いの場合、「のし」には会社名(部署連名なら部署名も)も書きます。氏名の記載はケースバイケースです。
会社全体として結婚祝いを贈る場合:
「のし」の下部中央に「代表取締役 ○○○○」と代表者の名を入れて、その右側に少し小さめに会社名を入れます。会社名が長い場合には、「株式会社」を(株)に省略しても構いません。
部署として贈る場合:
「のし」の下部中央に「○○部 一同」と部署名を入れ、右側に少し小さめに会社名を入れます。
有志連名として贈る場合:
「のし」に氏名を書く場合は3名くらいが紙面的にもスマートです。役職の上下がある場合は、中央に最も目上の方を入れ、左へ順に書いていきます。役職が対等であれば、中央・左・右のように、左右対称に書き入れていきましょう。3名以上の連名の場合は「代表者の氏名+他○名」のように記します。
連名でもらった場合のお返しは?
結婚や出産などを「連名」でお祝いをもらう機会があります。例えば職場のグループや友人同士から連名でお祝いを貰う場合は「◯◯一同」など、連名の場合があります。その場合「内祝い」をまとめてお返しするべきか、それとも個別にお返しするべきか迷ってしまいます。
職場の同僚や後輩などから連名でお祝いをもらった場合は、職場の皆でシェアできるスイーツギフトをまとめて贈るのをお勧めします。特にひとつひとつ個包装されていて日持ちする焼き菓子の詰合せは内祝いの定番品といえるでしょう。どうしても個別でお返しをしたい場合、頂いた金額を人数分で割った金額で内祝いの品を選ぶのが良いでしょう。可愛いらしいハンドタオルやお菓子の詰合せなど、たとえ予算が少ない場合でも見た目の華やかな品であれば喜んでもらえるでしょう。
訪問してギフトを渡す時のマナーは?
出産祝いやお中元・お歳暮などの「お祝い品」は、最近では運送会社の配送で届けることが一般的ですが、やはり「直接会って渡したい」こともあるでしょう。そんな時に気をつけておきたいマナーがあります。
訪問時間のマナー
あらかじめお相手には訪問する旨を伝えておきます。当然ですが、訪問の日時はお相手の都合を最優先にし、早朝や夜間、食事時の時間は避けるようにします。午前だと10:00〜11:00、午後であれば14:00〜16:00頃の訪問が理想です。個人宅に訪問する場合は、あえて約束の時間から5分程度遅れるのがマナーとされています。ぴったりの時間に来られても、お相手の準備がまだ整っていない場合もあるからです。
訪問のマナー
冬場なら玄関の前でコートやマフラー、手袋はあらかじめ外しておきましょう。コートは裏返しに畳んで腕に掛けておきます。ドアが開いたら簡単に挨拶を交わします。「どうぞ」と招かれてから玄関に入ります。扉を閉める際には、後ろ手で閉めるのではなく、必ずドアのほうに体を向けてから閉めるようにします。靴を脱ぎ、お相手にお尻を向けないよう注意しながらしゃがみ、脱いだ靴の向きを直します。スリッパを勧められた時は、スリッパに履き直します。通常は「贈り物」は室内に入ってから渡します。贈り物の持参には「風呂敷」の包みが最も丁寧ではありますが、最近ではお店側が用意してくれる「手提げ袋」でも特に問題はありません。
高額なお祝いを貰った時は、何をお返しすれば良いですか?
高額なお祝いを贈って下さる方への「お返し」は、年齢が離れていて趣味が分からなかったり、贈り物として想像できるものはすでに持っている可能性があります。相手の方の趣味嗜好を知っていても、趣味のものだからこそこだわりが強いこともあり、お返しを選ぶことが難しい場合も珍しくありません。お祝いのお返しは、基本的にいただいたものの半額から1/3程度が目安ですが、金額にこだわらず、お礼を添えて無理のない範囲でお返しを贈るとよいでしょう。例えば両親や祖父母からのお祝いが「これからの生活を応援したい」という気持ちから高額になっているかもしれません。これに高額なお返しを贈ると、相手からの気持ちを無視してしまうことになり、かえって失礼にあたります。高額なお祝いを贈ることは、それだけお祝いの気持ちが強いということでもあります。相手にお返しを贈ったあとも、こまめに連絡を取ったり、顔を見せたりするなどのコミュニケーションをとると喜んでもらえるでしょう。
お返しを贈る相手が喪中の場合は、どうしたら良いですか?
お祝いのお返しは感謝の気持ちを贈るものなので、相手が喪中であっても基本的には贈ることができます。しかし四十九日を過ぎていない場合は、お返しを贈るのをしばらく待つ必要があります。
四十九日の間は一切の祝行事を慎まなければならない「忌中」にあたり、相手の方の生活がどうしても落ち着かない期間だからです。お返しは早い方がよいとされますが、忌が明けない間は先にお礼状を贈り、文中に「お返しは四十九日が過ぎたころにあらためて贈らせていただきます」と添えておくと丁寧です。また、お返しの水引きは通常の紅白蝶結びとなりますが、贈り物にのしを付ける場合には、通常の「内祝い」と書かず、「御礼」と表書きして贈るほうが無難です。贈るものについても悩むところですが、こちらはお返しとしてタブーとされているものを避ける程度で十分です。特に弔辞の贈り物として使われる緑茶や、ご遺体の顔に被せる白いハンカチなど、お葬式を連想させるものには注意します。
子どもの返礼は不要?
七五三、入園・入学、卒業、成人、就職など、子どもの成長を祝う行事はいくつかありますが、唯一「出産祝い」はお返しが必要ですが、それ以外のものは不要です。これには、「一般的に子どもは自分でお金を稼いでいないので、お祝いのお返しを出来る立場にない」という考えがあります。他にも、「子どもの成長に対するお祝いは、ほとんどが身内からのものだから」というのも理由のひとつだからです。目の中に入れても痛くないかわいい孫の初節句ですから、おじいちゃんやおばあちゃんからはかなり奮発したお祝いをいただくこともあります。「お祝いの金額に見合ったお返しを用意しなければ」と、思うかもしれませんが、お祝いを贈った当人たちはお返しの品物を求めてお祝いをくださったわけではありません。金額にあまりこだわらず、感謝の気持ちを込めてお礼を申し上げましょう。孫の健やかな成長こそが、おじいちゃんとおばあちゃんにとって何よりのお返しなのです。
ただ子ども本人からお礼の電話や手紙を送ることはお忘れないようにしましょう。どうしても何か贈りたいと思われるのであれば、心ばかりの品物として手軽なお菓子の詰合せなら贈られたお相手も気兼ねなく受け取っていただけることでしょう。
ギフトにふさわしくないものは?
ギフトにふさわしくないものは、意外と多いのです。例えば、食器などのワレモノは祝い事全般に共通ですが、これは嫌がられる傾向があります。日本茶は香典返しなどの弔事で使われることが多いため、お祝いの品としては不適切だとされています。また櫛は、歯が欠けてしまうことがある上に、「苦」「死」と語呂が悪いとされます。包丁やはさみなど切ることに使うものは「縁を切る」に通じるとして、贈り物には適さないとされています。「手切れや別れ」を連想させるハンカチもお祝いとしてはマナー違反です。
昇進祝いや栄転祝いについて、目上の人に贈ると失礼になるとされる品物があります。例えば、靴下や下着・肌着などの直接身に付けるものは、「より勤勉に」という意味があり、目上の人に贈るにはNGです。履物は靴、靴下、室内履きなどは、踏んだり敷いたりする物は「相手を踏みつける」という意味に通じるので良くないとされています。現金、商品券は、目上の方には失礼になると考える人もいます。
他にも目上の方に贈るのがNGなものとして、万年筆やボールペンをはじめとして筆記用具は、「これを使ってがんばれ」という意味合いがあります。また腕時計・かばんは、「もっと勤勉に」という意味があり、ベルトは、「気を引き締めて」「腹をくくって」と、年下の学生や部下に贈るのは良いのですが、目上や年上の方には不向きです。
新築祝いには、赤い色の贈り物をするのは「火」や「火事」を連想させるためよくないとされています。病気のお見舞いのために鉢植えを持っていくことは「根付く」が「寝付く」という言葉に似ているため好ましくありません。シクラメンは「死」「苦」に通じること、また、菊は「葬儀」を連想させることから、タブーとされています。ユリやクチナシなど香りの強い花は、入院生活には不向きです。また、血のような真っ赤な花も避けておきましょう。また、お見舞いでタブーとされる物は、入院生活に必需品のパジャマですが、年配の方には「長く寝る」に繋がるとして不快に思う方もいらっしゃるようです。
その他でもタブーではないものの、壁掛けの家具(鏡や時計、絵画など)は壁に穴を空けないと飾れないので、リクエストがなければプレゼントしないほうがよいでしょう。また最近では断捨離(だんしゃり)ブームもあり、自分の好みに合わない不要な物は処分する傾向がありますので、自分の趣向で品物を贈るのは往々にして迷惑になる場合もあります。
お祝いの品を贈るのに避けたほうがよい「数」は?
「結婚祝いには偶数はNG」と言われるのは、2で割り切れることから「2人が別れる」を連想するからです。確かに、ご祝儀を包む際には30,000円、50,000円、70,000円のように割り切れない枚数が一般的です。ほかにも、ペアのマグカップや2本の一升瓶を「1対」と数えたり、12個のセットを「1ダース」としたりと、実際の数は偶数でも、慶事にふさわしいように数え方を変えて奇数にすることがあります。ただ、漢数字の「八」が末広がりであることから、80,000円のご祝儀は喜ばしいと考えられています。
反対に偶数の贈り物は死亡・葬式などのおくやみ事に使われます。凶数となる「4、9」は、「死」「苦」の不吉なイメージを連想させるため、お祝いごとの際には避けなければなりません。基本的に、数字は割れない奇数が「慶事」、割り切れる偶数が「弔事」とされています。これらの縁起の悪い数字やマナー違反とされる数字ですが、一般的な認識は共通しつつも、日本古来の風習や土地によっても変化します。マナーから外れてしまうことを極端に恐れる必要はありませんが、このような考え方があることは知っておいたほうがよいでしょう。
スイーツギフトは万能ギフト
日本には「菓子折り」という言葉があるように、昔からお祝いや内祝い、ご挨拶、お詫びなどにお菓子の箱詰めを贈りあう風習があります。特にお菓子は、食べたらなくなる「消えモノ」ですので、受け取る側が「気兼ねしにくい」というメリットもあり、贈りやすいアイテムです。
通常、お祝いをいただいた「お返し」は半額から1/3とされていますので、10,000円~3,000円のお祝いには5,000円~1,500円もしくは3,000円~1,000円程度ですので、焼き菓子の詰合せを「お返し」にお贈りするのが最適です。またお祝いの場合は、高額の場合は、お菓子だけで探すのは、至難の業ですので、「ご祝儀+お菓子」や「形に残る贈りもの+お菓子」というように、他のものと組み合わせて贈るのがベターでしょう。組み合わせで結婚祝いを贈る場合は、結婚祝いの全体予算の約1/3くらいを、お菓子の贈りものの予算に充てるという方が多いようです。
ただ、結婚式前後の二人は何かと忙しく、結婚祝いを贈ってもいつ受け取れるか、賞味期限の短いグルメだった場合いつ食べられるかわかりません。賞味期限のことも考慮して、お菓子ギフトはなるべく日持ちする「焼き菓子詰合せ」を贈るのがいいでしょう。